長崎三菱造船所が戦前作った戦艦武蔵。模型はフジミ製のエッチング付き大和を使用し、武蔵に改造することにしました。少ない資料を参考に悪戦苦闘しながらの制作となりました。
プラモデルを洗浄することから始め、船体関係を切り離します。制作と固定を兼ねて、船底部分に5ミリの穴を2か所開け、4ミリナットを取り付けます。しっかり取り付けを終えたら、船体を船底に接着し、バリを削り落とします。
後部甲板の作業
後部甲板上のモールド、グレーチングを削り、グレーチング下部の側面の斜めに支えるモールドも削り落とします。後部甲板をエッチングに差し替え飛行機運搬軌条レールを取り付けます。飛行機運搬軌条ターンテーブルが低く感じたので、丸く切り抜いたエッチングを下に敷きかさ上げし取り付けました。
格納庫のある一段下がった甲板の最後尾に大和と同じになるようにプラで細工。手すり、舷梯の木製グレーチング部を取り付けます。
3連装機銃座はタミヤ製大和の部品を使い、一段手すりを円周にそって貼り付け、エッチングをはめ込み接着します。
船体の側面作業
市販の舷外電路エッチングを船体に張り巡らせます。
後部甲板を支える斜め柱を指示に従いエッチングを取り付けていきます。製品にない甲板へ上がる梯子を取り付けていきます。手すりは市販エッチングで、通路は0.25ミリのプラを切り出し貼り付けます。
船首の作業
リール、チェーンを削り落とします。手すり、錨見台、ダビッド類を取り付けます。
船体中央部
両舷甲板上にピットロードの4つの機銃座を取り付け、防弾板として0.1ミリ銅版を細く切り円周に沿って取り付けます。砲塔台へ0.14ミリ圧帯状のプラ板を貼り付け補強版を表現します。ハッチは市販エッチングを閉じた状態と開けた状態で取り付けます。
1、2番副砲台
副砲台の上部の周りに0.4ミリほどの穴を均等に数多く開け深みを出します。通風メッシュエッチングを取り付け、カバーを自作し取り付けます。ドア、手すり、パラレーンを取り付けます。2番副砲台に強いヒケがあり、パテを埋めて補修します。
3連装機銃
キットの3連装機銃をピッとロード軍艦装備セット1(改訂版)に差し替え、防弾版は市販のエッチングより流用し作り変えます。書物によると、防弾版は無かったとの意見もありますが、取り付けました。
シールド付き3連装機銃:
機銃部は0.14ミリのプラ版を1/4円に切り抜き、一基に付き2枚貼り、間に3ミリ真鍮丸棒を差し込み接着し、深みを表現します。手すりを市販エッチング手すりを適度に切り取り張り付けます。大和と違い、少量ですので苦にならない上に、見た目の効果は強いかと。
主砲
説明書の指示に従い、梯子、手すり、後部入口を取り付けます。砲身はプラの砲身部を切り取り、穴をあけ金属砲身を張り込みます。
副砲
マニュアルに従い制作していくわけですが、細々している箇所が多く細心の注意と手間を必要とする作業でした。ただ、こつこつと我慢強く作る。これだけです。
艦橋部
艦橋下部
武蔵特有の形状が現れる場所です。シールド無の3連装機銃座が多く、不足する部品はタミヤの大和より流用しました。大和ではシールド付き3連装機銃の両舷8基の場所がシールド無に代わるため、台座を上げる必要があり、台座部のエッチングとの関係もあり大和の部品を流用し作ります。各台座には一段手すりが回るように取り付けてあるので、市販手すりエッチングを一段にし、貼り付けていきます。高角砲の過剰回転防止の棒を0.4ミリのアルミ丸棒で作ります。
煙突が取り付けられている甲板上の2か所が単相機銃(探照灯かもという話も)を大和の部品を細工し取り付けます。
前部艦橋
窓をすべてくりぬき、市販のエッチングを貼り付けます。艦橋下部の2基の探照灯部分を切り取り、プラ板で作り変えます。艦橋の各エッチングは写真のように取り付けました。本キット付属のエッチングでは不足部分がかなりありますので、市販のエッチングを要所要所に使用し作り変えています。
後部艦橋
後部艦橋の細工も写真でわかるようにプラ板、エッチング類を使用しこつこつと作業をしています。
煙突
説明書に従い、煙突上部の穴をあけ、蒸気捨管のモールドをすべて削りとり、アルミ管を細工し貼り付けます。煙突内部の仕切り板を制作し、左右の煙突を接着後、煙突上部の開口部の作業をします。ラッタル、手すり等のエッチングを取り付けていきます。
上部艦橋の最上部
画像のように、細部を作りこんでいます。レーダー後部の支え棒は0.2ミリの真鍮丸棒を切りとり接着しています。細工にあたって、作業がしにくく破損しやすい箇所です。
マスト:
キットの下部部分ののみを使用し、上部部分は真鍮丸棒を使い、先端に向かって細く削りこみ、一部は強度を確保することもあり半田付けを施しの上、瞬間接着剤で張り付けます。結構不安定な状態で作業することになり、難しい場所でもあります。キット付属のエッチングのレーダーはもろいので、注意して作業をする必要がありました。マストを金属棒で作った関係もあり、レーダー取り付け部の垂直がエッチング部品のままでは取りつけにくく苦労した箇所です。
塗装
まずは船体の塗装から。
サーフェーサーを吹き付け、甲板と喫水下部の着色です。甲板は黒色だったということですが、黒色ではあまりにもどぎつくなりそうで、ラッカーのジャーマングレーを吹き付け。ですが、どうもイメージがわかなくて、納得がいくまでに明るくしたり、暗くしたりと思考錯誤の末、どうにかイメージに近くまでもっていきました。
喫水線下を艦艇色で吹き付け、すべてをマスキング後、ニュートラルグレーを吹き付け、濃淡を調整します。船体側面は大和の実際の写真を参考に、グレーの濃淡を付け、エナメル塗料で錆を適度に書き込みます。一番難しく、また艦船らしく表現する醍醐味を感じる時でもあります。納得がいくまで何度も何度も色を塗り重ねることになるのですが。
後部甲板の微妙な濃淡を筆を使って加筆していきます。リノニュウーム帯をレッドブラウン(エナメル)で塗装後、下地のエッチング目地を出すためナイフで削りとります。
甲板に機銃を配置し、土嚢を取り付けていきます。土嚢はパン生地の粘土で作りました。色も程よく出るものですから。
3連装機銃の土嚢の貼り方は、学研の「大和・武蔵」を参考にして張り込んでいます。単相機銃を取り付けていきます。弾薬箱は基本的にエッチングですが、数があまりに多いため不足し、いくらかはプラ棒を切り抜き塗装し代用しています。主として艦橋周りに集中させました。
艦橋の塗装:
マストの除く艦橋を組み立て後、塗装します。
サーフェーサー吹き付け後、リノニュウームを先に吹き付け、マスキング後にニュートラルグレーを吹き付け、濃淡を調整していきます。艦橋下部の甲板部に薄くレッドブラウンを要所要所に塗りこみ擦れた感じを出します。映画「男たちの大和」の実物大模型が塗装の良い参考になるのです。戦場での雰囲気はあんな感じなのかもしれません。
煙突の上部を黒のエナメル塗料で吹き付け、境目は筆で調整します。全体もグレー一色では単調ですので、ジャーマングレー、黒、ライトグレーのエナメル塗料を使いアクセントで筆で濃淡を付けて強弱を出します。楽しいひと時です。
3連装機銃の周りに土嚢を配置します。戦闘員の出入りを考えると一部に開口部があるはずですので、周り一面に土嚢は配置していません。射撃指揮装置を取り付けます。
船体に各部品を取り付け:
全ての塗装を終えた各部品を船体に取り付けていきます。艦橋を取り付け、マストを正確に取り付けます。主砲、副砲を取り付けます。カタパルト、後部マストを取り付け、艦載機を配置します。
最後に、間違いをチェックし、破損場所を修整し張り線を張り巡らせて完成となります。
各種の日本海軍艦艇を制作しますが、やはり大和型は綺麗なフォルムをしていると思います。女性的というか、私の好きな形です。